~日本人だからこそ語れる、文化と変革の狭間で~
こんにちは、かわら版JAPAN!編集部です。
「結婚したら、同じ姓を名乗るのは自然なことでしょう?」
海外の取材で、日本の夫婦同姓制度について説明すると、必ずと言っていいほど質問が飛んできます。多くの日本人にとって当たり前のこの慣習が、世界では珍しい選択だということを、私たちは海外の反応を通じて初めて実感することが多いのです。
実際、日本の統計を見ると、結婚する夫婦の95.6%が同じ姓を選択しています。そして、その大多数が夫の姓を選ぶという慣習が、自然な形で続いています。この選択に違和感を持つ日本人は少なく、むしろ家族の一体感を生む大切な文化として受け入れられています。
しかし近年、この日本の「当たり前」が、国際社会から注目を集めています。なぜなら、法律で夫婦同姓を義務付けている国は、世界で日本だけだからです。
数字で見える日本の現状
世界経済フォーラムが発表した最新のジェンダーギャップ指数で、日本は146カ国中118位という結果でした。この順位の背景には、様々な要因がありますが、夫婦同姓制度もその一つとして国際社会から指摘されています。
2024年10月に実施された全国調査では、選択的夫婦別姓制度への賛成が60.2%を占めました。この数字は、日本社会が少しずつ変化していることを示していますが、それは伝統的な価値観を否定するものではありません。むしろ、多様な選択肢を認める方向への自然な変化といえるでしょう。
世界の中の日本:各国の制度から見えてくるもの
世界各国の夫婦の姓に関する制度を見てみると、興味深い違いが浮かび上がってきます。
国 | 制度 | 文化的背景 |
---|---|---|
日本 | 同姓強制 | 家族の一体感重視 |
フランス | 自由選択 | 個人の権利重視 |
韓国 | 別姓原則 | 家系の継承重視 |
ドイツ | 選択制 | 男女平等重視 |
興味深いのは、同じアジア文化圏である韓国が、むしろ別姓を原則としていることです。これは、家系の継承を重視する韓国の文化が反映されたものです。一方、ヨーロッパ諸国では、個人の選択権を重視する傾向が強くなっています。
日本人が大切にしてきた「家族の形」
日本の夫婦同姓には、深い文化的な背景があります。「家族は一つ」という意識は、単なる制度以上の意味を持っています。同じ姓を名乗ることで生まれる一体感は、日本の家族文化の重要な要素となってきました。
学校での呼び方一つを取っても、この文化の特徴が表れています。「田中さんのお母さん」「佐藤くんの妹」といった呼び方は、家族の繋がりを自然に表現する日本語の特徴でもあります。
変化する時代の中で
しかし、グローバル化が進む現代社会では、この伝統的な制度が新たな課題を生み出していることも事実です。
国際的な研究活動や、グローバルビジネスの場面では、改姓によって思わぬ支障が生じることがあります。研究者にとって、論文実績の継続性は重要な問題です。また、海外取引の多い企業では、取引先との関係維持にも工夫が必要になっています。
[前文は同じなので省略し、続きから記載させていただきます]実務の現場から見える課題
法務省の調査によると、実務の現場では様々な工夫と対応が行われています。多くの企業が、業務上の不都合を減らすため、旧姓使用を認めるようになってきました。しかし、戸籍上の氏名と通称使用の使い分けは、新たな課題も生んでいます。
例えば、金融機関での本人確認や、重要な契約書の作成時には、必ず戸籍上の氏名を使用する必要があります。そのため、取引先との関係では旧姓を使用していても、重要書類では別の姓を使うという「二重管理」が必要になるのです。
経済産業省の2023年の調査では、企業における改姓関連の実務対応には、一人当たり年間で相当の時間とコストが発生していることが明らかになっています。しかし、これは単なる業務上の非効率という問題ではありません。日本社会が直面している、伝統と革新のバランスをどう取るかという、より本質的な課題の一つの現れといえるでしょう。
家族の絆と個人の権利:二者択一ではない未来へ
「伝統を守るべき」「変革が必要」―この議論は、しばしば対立的に語られます。しかし、私たち日本人が本当に考えるべきは、この二つをどう調和させていくかではないでしょうか。
実際、選択的夫婦別姓を導入している国々では、家族の絆が弱まったという報告はありません。むしろ、個人の選択を尊重することで、より強い家族関係を築いている例も多く報告されています。
2025年に向けて、法改正の議論が本格化しています。この動きは、単なる制度の変更以上の意味を持っています。それは、日本の良き伝統を守りながら、新しい時代にふさわしい家族の形を、社会全体で模索していく試みといえるでしょう。
これからの日本社会に向けて
近年、職場での通称使用や、旧姓併記のパスポート発行など、実務的な対応は着実に進んできています。しかし、より本質的な議論も必要です。家族の絆を大切にする日本の文化は、果たして同姓を法的に強制することでしか守れないものなのでしょうか。
選択の自由を認めることは、必ずしも伝統の否定にはつながりません。むしろ、それぞれの家族が自分たちの形を選べることこそ、現代の日本社会にふさわしい「伝統の継承」の形かもしれないのです。
皆様の考えをお聞かせください
皆様の国では、家族の姓についてどのような考え方が一般的なのでしょうか。また、日本のような夫婦同姓の文化について、どのように感じられますか?
私たちは、この問題を通じて、文化の多様性と普遍的な価値の調和について、共に考えていければと思います。
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