日本語でしかわからない?和歌の音韻とリズムの美しさ第8弾

日本語でしかわからない?和歌の音韻とリズムの美しさ第8弾

百人一首 第三十六首から第四十首の魅力

百人一首 第三十六首から第四十首の魅力

日本の和歌はその凝縮された形式の中に自然や感情、文化が織り込まれています。ここでは百人一首の第三十六首から第四十首を取り上げ、ローマ字表記、意味、背景、翻訳では伝わらない良さについて解説します。それぞれの作者名とその読みも記載しています。

 第三十六首:清原深養父(きよはらのふかやぶ)

和歌:
 夏の夜は   まだ宵ながら  明けぬるを  雲のいづこに   月やどるらむ
ローマ字表記:
Natsu no yo wa Mada yoi nagara Akenuru o Kumo no izuko ni Tsuki yadoruran

第三十六首:清原深養父(きよはらのふかやぶ)
  • 意味: 夏の短い夜は、まだ宵のうちと思っているうちに明けてしまう。月は一体、どの雲のあたりに宿っているのだろうか。
  • 背景: 清原深養父は平安時代の歌人で、夏の短い夜と月の儚さを詠みました。夏特有の季節感が際立つ一首です。
  • 翻訳では伝わらない良さ: 「月やどるらむ」という表現には、月への深い憧憬と、日本人が古来より抱く自然観が込められています。詩的な響きと情感を翻訳で完全に再現するのは困難です。

 第三十七首:文屋朝康(ふんやのあさやす)

和歌:
  白露に   風の吹きしく   秋の野は  つらぬきとめぬ   玉ぞ散りける
ローマ字表記:
Shiratsuyu ni Kaze no fukishiku Aki no no wa Tsuranuki tomenu Tama zo chirikeru

第三十七首:文屋朝康(ふんやのあさやす)
  • 意味: 白露に風が吹き渡る秋の野原では、露が散り落ちて、あたかもつなぎ留められない玉のように散らばっています。
  • 背景: 文屋朝康は平安時代の歌人で、自然描写を繊細に表現することに長けていました。この歌は秋の儚さを見事に映し出しています。
  • 翻訳では伝わらない良さ: 「つらぬきとめぬ玉ぞ散りける」のリズムと響きは、日本語独特の音韻美を際立たせており、英訳ではその感覚を伝えきれません。

 第三十八首:右近(うこん)

和歌:
 忘らるる  身をば思はず   誓ひてし  人の命の    惜しくもあるかな
ローマ字表記:
Wasuraruru Mi o ba omowazu Chikaite shi Hito no inochi no Oshiku mo aru kana

第三十八首:右近(うこん)
  • 意味: 忘れられる自分のことは気にしない。ただ、誓いを交わしたその人の命が惜しいと感じられるのです。
  • 背景: 右近は平安時代中期の女流歌人。この歌は誓いを交わした相手に対する深い想いと憂いを込めています。
  • 翻訳では伝わらない良さ: 「惜しくもあるかな」の響きに込められた感情の機微や、日本語独特の繊細な心理描写が翻訳では損なわれがちです。

 第三十九首:参議等(さんぎひとし)

和歌:
 浅茅生の  小野の篠原   忍ぶれど  あまりてなどか  人の恋しき
ローマ字表記:
Asajiu no Ono no shinowara Shinoburedo Amarite nadoka Hito no koishiki

第三十九首:参議等(さんぎひとし)
  • 意味: 浅茅が生い茂る小野の篠原のように隠そうとしても、どうしてこんなにも人が恋しいのでしょうか。
  • 背景: 参議等は平安時代の貴族で、この歌では自然を恋心に重ねた表現が特徴です。
  • 翻訳では伝わらない良さ: 「浅茅生の小野の篠原」という具体的な日本の風景が、恋心の比喩として効果的に使われています。この情景美は翻訳で伝えきるのが難しい部分です。

 第四十首:平兼盛(たいらのかねもり)

和歌:
しのぶれど 色に出でにけり  我が恋は   物や思ふと   人の問ふまで
ローマ字表記:
Shinoburedo Iro ni idenikeri Waga koi wa Mono ya omou to Hito no tou made

恋心を気づかれる男
  • 意味: 隠していても、私の恋心は顔色に出てしまいました。まるで「何か思い悩んでいるのですか」と人に尋ねられるほどに。
  • 背景: 平兼盛は平安時代中期の歌人。この歌は、自身の恋心が隠しきれない切なさを率直に詠み込んでいます。
  • 翻訳では伝わらない良さ: 「しのぶれど」の音調や、「色に出でにけり」という表現の繊細な感覚は、日本語の言葉遊びや心理描写の妙を物語っています。

まとめ

まとめ

和歌は、言葉の音やリズム、文化的背景、自然観が深く結びついており、翻訳ではどうしてもそのすべてを伝えきれない部分があります。しかし、和歌を通じて日本語の美しさを学び、感じ取ることで、より深く日本文化を理解できるでしょう。和歌は単なる詩ではなく、感情や風景を時間を超えて共有できる手段なのです。それを楽しむことは、言葉の壁を越えた感動体験となるでしょう。

最後に

最後に

音のリズムを楽しんでもらうのはもちろんですが、感覚的に理解してもらうために画像も多くつけています。それはどんな面からでもいいので、難しく考えず楽しんでもらいたいという思いからのものですが、内容が情緒的で画像にすることが難しいこともあります。ですので、答えだとは思わず、自分の解釈でどのような内容なのか理解するということも楽しいのではないかと思います。

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