日本語でしかわからない?和歌の音韻とリズムの美しさ第17弾

日本語でしかわからない?和歌の音韻とリズムの美しさ第17弾

百人一首 第81–85首の解説

百人一首 第81–85首の解説

以下に、百人一首の第81首から85首までについて、作者名、よみがな、和歌、ローマ字読み、意味、背景、翻訳では伝わらない良さを解説します。

 第81首 作者名: 後徳大寺左大臣(ごとくだいじのさだいじん)

和歌:
 ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただありあけの 月ぞ残れる

ローマ字読み
Hototogisu nakitsuru kata o nagamureba tada ariake no tsuki zo nokoreru

第81首 作者名: 後徳大寺左大臣(ごとくだいじのさだいじん)

意味:ほととぎすが鳴いた方角を眺めてみると、そこにはただありあけの月が残っているだけだ。

背景:ほととぎすの声と、夜明けの静けさを対比させた一首。ほととぎすが象徴するものと、残る月の姿が感慨深いです。

翻訳では伝わらない良さ:「ありあけの月」の表現には、夜明け間際の曖昧な時間の美しさが込められています。ほととぎすの声と月の光が日本語の詩情を高めています。

 第82首 作者名: 道因法師(どういんほうし)

和歌:
 思ひわび さても命は あるものを 憂きにたへぬは 涙なりけり

ローマ字読み:
Omoiwabi satemo inochi wa aru mono o uki ni taenu wa namida narikeri

第82首 作者名: 道因法師(どういんほうし)

意味:思い悩みながらも命は続いている。しかし、辛さに耐えられないのは涙である。

背景:恋の苦悩を端的に表現した一首です。生きることの儚さと涙の重みが際立ちます。

翻訳では伝わらない良さ:「涙なりけり」という結びには、日本語特有の感情の余韻が込められており、和歌ならではの深い感動を呼び起こします。

 第83首 作者名: 皇嘉門院別当(こうかもんいんのべっとう)

和歌:
 世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる

ローマ字読み:
Yo no naka yo michi koso nakere omoiiru yama no oku ni mo shika zo naku naru

第83首 作者名: 皇嘉門院別当(こうかもんいんのべっとう)

意味:世の中には救いの道がないように思える。山奥でさえ、鹿が悲しげに鳴いている。

背景:世の無常と自然の寂寥感を重ねた一首です。鹿の声が人の孤独と響き合います。

翻訳では伝わらない良さ:「鹿ぞ鳴くなる」の響きには、自然と人間の心が一体化する感覚があり、日本語特有の音韻美が際立っています。

 第84首 作者名: 藤原清輔朝臣(ふじわらのきよすけあそん)

和歌:
 長らへば またこのごろや しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき

ローマ字読み:
Nagaraeba mata kono goro ya shinobaremu ushi to mishi yo zo ima wa koishiki

第84首 作者名: 藤原清輔朝臣(ふじわらのきよすけあそん)

意味:もし長生きしたならば、この時代が懐かしく思い出されるのだろう。辛いと思ったこの時代も、今となっては恋しくなるのだ。

背景:過去の辛さを回想することで、現在の辛ささえも愛おしくなるという深い洞察が詠まれています。

翻訳では伝わらない良さ:「憂しと見し世ぞ今は恋しき」という感情の転換が、日本語の中で特有のリズムとともに美しく響きます。

 第85首 作者名: 俊恵法師(しゅんえほうし)

和歌:
 夜もすがら 物思ふころは 明けやらで ねやのひまさへ つれなかりけり

ローマ字読み:
Yo mo sugara mono omou koro wa akeyarade neya no hima sae tsurenakarikeri 

第85首 作者名: 俊恵法師(しゅんえほうし)

意味:一晩中物思いにふけっていると、夜が明けることもなく、寝室の隙間からさえ冷たさが伝わってくる。

背景:恋の悩みと孤独を、夜の静寂の中に描き出した一首です。自然と感情が一体化しています。

翻訳では伝わらない良さ:「つれなかりけり」という表現には、冷たさの感覚と感情の深さが詰まっており、日本語特有の余韻を感じます。

まとめ

まとめ

第81首から85首の和歌は、恋や人生の悩み、自然との調和が描かれており、それぞれの情景や感情が深く心に響きます。翻訳では伝えきれない日本語の音韻やリズム、美しい比喩表現が、和歌の持つ独特の味わいを一層引き立てています。これらの和歌を通じて、言葉が持つ力と感情の豊かさを再認識できます。

最後に

最後に

これまでかなりの和歌を紹介してきました。記事も17となりました。今更ではありますが、順番などを気にしなくても大丈夫です。それぞれどれをとっても、優れた和歌ですので、たまたま目についたものを見るだけで十分です。一から詠む必要も、記事の最初から最後まで詠む必要もありません。たまたま、偶然見つけたものが読んだ方にとって、少しでも良いものとなればと思います。

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