🎬映画『ルノワール』──少女のまなざしが映す、日本の夏と“家族のすき間”

日本語でしかわからない?和歌の魅力 古今和歌集 巻五:秋下 第291首~第300首
*画像はイメージです

静かに壊れていくもの、言葉にならない愛。その全てが、この映画には詰まっている。

こんにちは。世界中に日本の映画や文化を伝えるブロガー、**サブ(Subu)**です。

今回は、2025年6月20日に公開される話題作、**早川千絵監督の長編第2作『ルノワール』**をご紹介します。

試写で本作を観終えた私は、椅子から立ち上がることができませんでした。
目立った演出も、大きな事件もないのに、なぜか涙がにじんでくる。
「何も起きない日々」の中に、どれだけの感情が詰まっているのか。それを思い知らされる作品です。


🏡 あらすじ:自由な空想と、ひび割れていく家族の日常

🏡 あらすじ:自由な空想と、ひび割れていく家族の日常
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物語の舞台は、バブル経済真っ只中の1980年代後半
11歳の少女・フキは、郊外の家で闘病中の父・圭司(リリー・フランキー)、そして**仕事に追われる母・詩子(石田ひかり)**と暮らしています。

フキは、マイペースで空想が得意。
ときに大人を戸惑わせるほどの豊かな感受性を持ち、毎日を自由に過ごしています。

けれど、家の中には少しずつ変化が生まれ始めていました。

  • 父と母の間に生まれた沈黙
  • フキの心に差し込む、大人たちの本音
  • 想像の世界に逃げ込むことで、かろうじて保たれる子どもらしさ

「子どもは何もわかっていない」と思っているのは、大人のほうかもしれない。
この映画は、そう語りかけてきます。


🎭 テーマ:孤独・成長・ユーモア──そして、“言えなかったこと”

🎭 テーマ:孤独・成長・ユーモア──そして、“言えなかったこと”
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『ルノワール』が描くのは、誰もが一度は感じたことのある、でも言葉にできなかった感情です。

  • 家の中で感じる“どこか違う”空気
  • 会話のないまま終わる夕食
  • 疲れた大人に話しかけるのをやめた瞬間

それらが映画の中で、過度に dramatize されることなく、自然に描かれていきます
ときに滑稽で、でもどこか切なくて、観る者の心に“あの頃の記憶”を呼び起こします。

この「感情の奥行き」を支えているのが、主演の鈴木唯さん
オーディションで選ばれた彼女は、撮影時11歳。まさにフキと同じ年齢でした。
彼女の自然体な演技が、物語のすべてを成立させています。


🎬 監督・早川千絵──世界が認めた確かな視点

🎬 監督・早川千絵──世界が認めた確かな視点
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本作を手がけたのは、早川千絵監督
前作『PLAN 75』で、第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品され、カメラドール(新人監督賞)の次点に選出された注目の監督です。

そして『ルノワール』は、第78回カンヌ国際映画祭・コンペティション部門への出品が決定。
デビュー作から2作連続でカンヌに出品されるという、極めて稀な快挙を達成しています。

早川監督は、自身の家族との関係や体験を、直接的ではなく**“にじませるように”映画に投影**するのが特徴。
今回もまた、感情を抑えた演出のなかに、確かなリアリティが宿っています


🌏 海外の映画ファンへ──『ルノワール』を観るべき5つの理由

日本映画にあまり馴染みがない方にも、本作はぜひ観ていただきたい。
その理由は、以下の5点に集約されます。

1. “静けさ”と“間”で語る日本映画の真髄がここにある

1. “静けさ”と“間”で語る日本映画の真髄がここにある
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日本映画は、派手な演出やセリフに頼らず、**「空気」や「沈黙」**で感情を伝える文化的背景があります。
『ルノワール』はまさにその代表格。

家族のすれ違いや少女の心の揺れを、大げさな説明を排除し、映像の余白で描いている
これは、世界の多くの映画ファンが「日本映画にしかない美学」として愛してやまない要素です。


2. 子どもの視点から描く“大人の世界”が極めてリアル

2. 子どもの視点から描く“大人の世界”が極めてリアル
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『ルノワール』では、主人公・フキの目線で物語が進みます。
彼女は大人の世界を完全に理解していないけれど、空気や表情から“何か”を確実に感じ取っている

この「理解と未理解のあいだ」にある描写が、非常に繊細で鋭い。
『誰も知らない』(是枝裕和)や『湯を沸かすほどの熱い愛』などと共通する、子ども視点のドラマとして評価される可能性が高いです。


3. 早川千絵という“新しい才能”の進化を見届けられる

3. 早川千絵という“新しい才能”の進化を見届けられる
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前作『PLAN 75』で国内外から絶賛された早川監督が、本作でさらに深化した表現力を見せています
しかも、2作連続でカンヌ国際映画祭に選出されるという快挙。

日本映画ファンとして、「新しい世代の監督がどう成熟していくか」をリアルタイムで追えるのは貴重です。
今後、世界映画界で中心的存在になる可能性を秘めた監督の、進化の瞬間を見逃さないでください。


4. 1980年代日本の“空気”を細部まで再現した美術と時代感覚

4. 1980年代日本の“空気”を細部まで再現した美術と時代感覚
※画像はイメージです

映画の舞台は1980年代後半、日本がバブル経済の真っ只中にあった時代。
この時代設定は、日本の映画・音楽・ファッションの転換期とも重なります。

『ルノワール』では、当時の住宅、ファッション、家電、言葉づかいまでが丁寧に再現されており、リアルな「日本の過去の暮らし」に触れられるのも魅力。
文化的・社会的な背景を楽しむ視点でも、見応えがあります。


5. “人間関係の儚さと温かさ”が、国境を超えて共感を呼ぶ

5. “人間関係の儚さと温かさ”が、国境を超えて共感を呼ぶ
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『ルノワール』は、日本特有の演出や世界観を持ちつつも、描かれるテーマは普遍的な人間ドラマです。

  • 親の病
  • 家族のすれ違い
  • 子どもの成長と孤独
  • 誰かに愛されたいという静かな欲求

これらは、どの国の人にも共通する感情であり、文化の壁を越えて心に届く

日本映画の特徴である“抑制された感情表現”が、むしろ国際的な観客には新鮮で深く刺さるのです。


✍️ サブの個人的な体験:沈黙の食卓を思い出した夜

✍️ サブの個人的な体験:沈黙の食卓を思い出した夜
※画像はイメージです

私にも、子どもだった頃、父が病気だった時期がありました。
母は毎日働きづめで、家族三人、同じ部屋にいても、それぞれが別の方向を向いていたような空気がありました。

『ルノワール』を観ていると、まるでタイムスリップしたかのように、そのときの感覚がよみがえってきます。
言葉にしなかった、できなかった感情に、ようやく向き合えた気がしました。


💬 あなたの“思い出の家族の瞬間”、教えてください

💬 あなたの“思い出の家族の瞬間”、教えてください
引用:ちょうどいいイラスト

この映画を観たら、ぜひ思い出してください。
あなたがまだ子どもだった頃、家族をどう見ていたか。

そしてもしよろしければ、その記憶をコメント欄でシェアしてください。
あなたの体験が、きっと誰かの心にも触れます。

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📌 映画『ルノワール』 情報まとめ

項目内容
🎥 監督早川千絵(『PLAN 75』)
🗓️ 公開日2025年6月20日(日本)
🏆 国際評価第78回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門 出品
🧑 主演鈴木唯(11歳)、石田ひかり、リリー・フランキー 他
🎭 主なテーマ家族、孤独、成長、想像力、静かな日常の揺らぎ

✅まとめ:『ルノワール』は、今の日本映画の「現在地」

✅まとめ:『ルノワール』は、今の日本映画の「現在地」
※画像はイメージです

『ルノワール』は、
🔹表現の繊細さ
🔹時代のリアリティ
🔹監督の実力
🔹普遍的なテーマ

すべてを高いレベルで兼ね備えた、今の日本映画が世界に誇れる作品です。

映画祭で評価される理由は、決して偶然ではありません。
**「今、日本映画を語るならこの1本」**と胸を張っておすすめできます。


📌 これからの日本映画の未来を知るためにも、
🌏 ぜひ『ルノワール』をその目で確かめてください。


『ルノワール』は、静かに、でも確かに、心の奥に届く一本です。
「大きな出来事」はないけれど、「大きな感情」が残る。
そういう映画を、ぜひ体験してみてください。

— サブ(かわら版 JAPAN!)

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